– ART BEAT CREATE –
アートを生き方でクリエイトする
元祖サーフスケーター
クリスチャン フレッチャー / Christian Fretche
プライベートトリップ記
カリフォルニア、サンクラメンテで幼い頃からパンクロックを聴き、サーフィンとスケートボードで遊んできた”クリスチャン フレッチャー / Christian Fretcher”
父は世界で初めてのデッキパット”ASTRODECK”の創設者ハービーフレッチャー、祖父は1950年代のボヘミアンサーフカルチャーの黎明期メンバーであるウォルター・ホフマン、というサーファー一族の元に生まれた。
そんなサーフィンの名家の元で生まれたクリスチャンは物心がつく前からサーフィンを初め、幼少の頃よりスケートボードで遊び、80年代にスケートとサーフィンを融合させ、当時からエアリアルなどのスケート由来のムーブで他のサーファーを圧巻し一線を画した、当時はまだエアリアルなどがメインストリームから理解されず、早くからフリーサーファーとしてオリジナルなスタイルで突き進む、その完全オリジナルなスタイルはアンディアイアンやノアディーンなどのサーファーに大きな影響を与えた、もはやサーフィン界のレジェンドである。
そんなクリスチャンも、今年の10/20には53歳を迎える。
そんな折に、クリスチャンと親交の深いY氏とTREASURE ISLEの高島氏が、
クリスチャンを宮崎に招待しプライベートバースディトリップが行われた。
この時期の宮崎は、晴れればキラキラとした日差しが降り注ぎドライで心地の良い風が、カリフォルニアの思い出させるようなベストなシーズン。
しかし初日の日曜日は、秋雨前線を伴った低気圧の影響で生憎の雨。
当初、ビーチイベントでのポップアップ営業の予定だったTREASURE ISLEの出店がこの雨のため中止となり
TREASURE ISLEのショップでのイベントに変更、急遽クリスチャンを交えたスケートBOWLセッションや宮崎のヤングガンが制作するムービーの試写会・ライブなどを交えたイベントが行われ、多くのローカルボーイズや当時のクリスチャンを知るサーファーなどが集結。
その中にはTREASURE ISLEで育ったT-BOYZの一員で3歳からスケートを始め、幼い頃にクリスチャンとTREASURE ISLEで出会い影響を受け、今年千葉で開催されたX-GAMEに出場した櫻井イッセイが、TREASURE ISLEの男前BOWLで縦横無尽に滑り飛びまわり成長した滑りを披露。
あの時まだ幼い子供だったイッセイがここまで成長した姿に、クリスチャンも嬉しそうな視線でイッセイのラインを目で追い、自身もジャムセッションに加わり男前ボールのプールコーピングをゴリゴリと音を立ててグラインドして一緒にその時間を楽しんでいた。
生憎の雨の中、急遽行われたイベントだったが気がつけば大いに盛り上がり、大人子供関係なしに最高なバイブスで大いに盛り上がったイベントとなった。
パーティーナイトを終えた次の日、低気圧が抜け波もサイズアップするがコンディションはイマイチ、だが風を交わすビーチで軽くサーフィンしその後TREASURE ISLEに戻った。
パーティー後の静かなTREASURE ISLEで、クリスチャンと親しく徳島よりこのために駆けつけていたDr.Aが男前BOWLを攻略しようとひとり滑り始めると、クリスチャンとTREASURE ISLE高島氏が加わり、プライベートBOWLセッションに。
やられてもやられても、強い気持ちでドロップするDr.A、数十回に及ぶトライの末、見事バックサイドディザスターをメイクしプライベートBOWLセッションも終了。
また静かな夜のとばりが下りた。
そこからしばらく、波はサイズダウンし海岸線をパトロールするも思った波は姿を現さず、プライベートBOWLセッションで腰を少し痛めたクリスチャンは、しばらくノーサーフでのんびり仲間と一緒の時間を楽しんだ。
その間に、仕事のためY氏とDr.Aは帰路につき、TREASURE ISLEの高島氏とクリスチャンの二人でゆっくりとさらに親交を深めながら過ごした。
クリスチャンがゆっくりしていた夜にこんなエピソードがある。
クリスチャンは現在拠点にしているフィリピンでは夜8時頃には寝床に付いているらしく、今回のトリップでも比較的早い時間にベットに横になることがあった、そんな中クリスチャンが来ているからと夜に仕事を終え遊びに来た友人が、寝ているクリスチャンに気を遣ってベットルームの扉を閉めてTREASURE ISLEの高島氏とギターセッションなどし過ごしていた。
次の日の朝、目を覚ましたクリスチャンは「ヘイ!シュンジ!俺が寝てるからってベットルームのドアを閉めるな!俺は寝ながらお前らの話を聞いているんだぜ!」と高島氏に話しかけてきた。
信頼した友達には心を開き「生活のリズムがずれていても気を使わなくていい、だってお前らは俺の友達だろ?」そんなふうにも聞こえ、ハードコアで強面の口が悪いイメージが強いクリスチャンだが中身はシンプルに楽しむ時はとことん楽しめよ!と言っているのがクリスチャンの言葉の中から垣間見ることができた。
そうこうしトリップの終盤に近づくと、久々に発生した台風15号からのうねりが届き始めた。
台風とは距離があるものの強い勢力の台風からダイレクトにウネリが入り、ビーチはクローズ気味なのでクリーンなレフトブレイクのリーフで、昼の空いている時間を狙ってTREASURE ISLEの高島氏と共にゲッティング、頭サイズのクリーンなブレイク、若手プロサーファーも入る中クリスチャンは奥へポジショニング。
セットの間隔は長く、インサイドでは勢いのある若手がスプレーをあげながら波をスコアしている。
ゆっくり待つクリスチャンに沖からセットの筋が入るそのうねりに合わせピークからテイクオフ、絶妙なポジショニングからリップの下に潜り込み波の中に一瞬姿を隠す、その後バレルの口が閉じるところを、マックスのスピードでこじ開け波のフェイスを走り抜けた。
真横で見ていたローカルサーファーは思わず「エグッ!」と声に出るようなクリスチャンらいしいライディングを披露した。
その後もラインナップに戻り、もう一本リップの下に潜り込む、先ほどよりは潜り込んだ感じではないが確実にそこを捉えるレールワークは、数々の経験を積んだ本物のグレートサーファーならではとレンズ越しに心を奪われた。
プライベートBOWLセッションで痛めた腰がまだ痛いようで腰を屈めて車に戻ってきたクリスチャン、トータル僅か3本のライディングであったが、そのライディングは本物のクリスチャンフレッチャーだと強い印象を与えられた。
いよいよこのトリップの最終日。
次の日の昼過ぎの飛行機で帰るため、ウエーブハントできるのはこの日が最後。
前日のセッション後にやっと自分の板も届き準備万端、まだ台風からのうねりはキープされ、波は至る所で割れている。
ただまだうねりがダイレクトで、波の周期が短くコンディションが決まらない、前日入ったレフトのリーフをチェックするも昨日同様な波、この日は週末のためピークの人は増えている。
レフトのブレイクを眺めながら考えていると「シュンジ!それじゃあそこに行かないか?」とクリスチャンがTREASURE ISLEの高島氏に話しかけた。
クリスチャンの言う”あそこ”とは、10年前の来日の際に発見したエピックなリーフのレフトブレイクだった。
前回はそのレフトブレイクで頭オーバーの波に1本目からリーシュがきれ、ノーリッシュな状態でその後もスコアしつづけた、もちろんインサイドはゴツゴツの岩で、なかなか一般サーファーは手を出さないであろう。
その上、そのブレイクはゴツゴツした岩場を20分ほど歩いた先にありそこまで行かないとそのブレイクを拝むことも出来ない秘境の地であった。
そのピークでサーフィンしたのも間違いなくクリスチャンが初めてだと思われる。
TREASURE ISLEの高島氏は、そのブレイクを”C.F Special”と名付け呼んでいた。
クリスチャンとTREASURE ISLEの高島氏の二人で一通りポイントをチェックし、「やっぱりあそこだな」と車を走らせた。
昼過ぎに”C.F Special”の近くに車を止め波チェックすると、近くのポイントはメローな波がブレイクするだけだったが、”C.F Special”には、遠目からでも分かる波が無人でブレイクしていた。
一度車に戻り買い物に行き、駐車場で前日に届いたSUNOVAのシグネーチャーボードにおもむろにASTRODECKを貼り、まるで二人でピクニックに行くようにbluetoothのスピーカーからパンクロックを流す、ブレイクまでの道のりを二人で肩を並べてパンクロックをBGMに歩いて行く姿はさながら映画ワンシーンのようであった。
途中突き出した大きな岩でブレイクを正面から見ることは出来なくなっていて、遠目にブレイクを見ながら大きな岩の上でブランチしセットのブレイクを二人で見つめる。
しばらくして少し潮が乗ってきた頃に二人は遠目に見えるブレイクを目指しパドルを始めた。
15分ぐらいパドルしピークのショルダーに到着した時、セットが姿を現した遠目で分かりずらいが頭サイズは悠にありそうなセットであった、そのセットに合わせて、さらに奥のピークへ向かう二人。
ピークに到着するが、波の神様のいたずらか、そこからセットはパタリと止んでしまった。
かなり長いこと沖で二人がセットを待つ、しかしさっきまでブレイクしていたセットは現れない。
どれくらい待っただろうか、少し小ぶりなセットが入ってきた。
すかさずまずクリスチャンがその波を捉え波のフェイスをフルスピードで走る。
その裏の波にTREASURE ISLEの高島氏がバックサイドでフェイスを走った。
その後も少し待ってみたが見ていたセットは来なかった。
二人は少々残念そうだったが、クリスチャンはいつもの笑顔だった、またいつもの冗談でクリスチャン節を炸裂させTREASURE ISLEの高島氏と談笑をしていた。
“C.F Special”の帰り道の車内、クリスチャンが「波来なかったな」と運転するTREASURE ISLEの高島氏に話しかけた。
高島氏は「One for you, One for me -”お互い一本ずつ乗れたじゃん”-」と返事したところ、クリスチャンは満面の笑みで高島氏にハイタッチを求めた。
波は物足りないコンディションであったが、二人の特別な思い出だとクリスチャンも嬉しそうだった。
決してお高く止まることなく、誰とでもフラットに話すことが出来る良き兄貴のようなクリスチャン。
お互いリアルなサーファーであれば、相手のことを尊重する、本物のリアルサーファーである。
そうして帰国の日、台風からのうねりはまとまり、近場のビーチでも綺麗に整った波がブレイクしていた。
前日、明日はノーサーフだ!というクリスチャンだったがTREASURE ISLEの高島氏のプッシュでラインナップに並んだクリスチャン。
ビーチで肩頭サイズの波をライドし時間に追われながらも無事空港へ。
そこから羽田を経由して現在の拠点であるフィリピンへ無事戻ったようである。
現在、クリスチャンはフィリピンに「THE END OF THE RAINBOW」というサーフスケートリゾートを建設中だという。
都会の喧騒を離れたジャングルの中で、また新たなことを色々と計画しているようだった。
TREASURE ISLEの高島氏も、「THE END OF THE RAINBOW」に行く約束をし再会を楽しみしている。
長いようで短かったプライベートバースディトリップも無事終了し、クリスチャンのあの笑顔がみんなの胸の中に思い出として刻まれた。
追伸:
この1週間何かある時はクリスチャンとTREASURE ISLEの高島氏と同行し未熟者ながら写真に納めさえてもらった、クリスチャンが宮崎に来る際にはTREASURE ISLEの高島氏やY氏と一緒にクリスチャンとハングアウトし全身にタトゥーの入った伝説のサーファーの姿を見ていた、今回のプライベートバースデートリップでは終始プライベートな感じでゆっくりと過ごしたクリスチャン、そんな素の一面からサーフィン界の異端児の素顔がまた少しわかったような気がした、物心ついた時からサーフボードに乗り限界を乗り越え、自分を信じて突き進むクリスチャン、イメージからは異端児ぶりが強いが、素顔は筋が通った男前で周りを楽しませ冗談を交えながら仲間を大切にする。
それは、TREASURE ISLEの高島氏と共通な感覚で、バックボーンは違えど二人は同じ感覚の人間なんだと実感した。
TREASURE ISLEの高島氏が運転し助手席にはクリスチャン、親分と子分のようなこの二人のバイブスは、TREASURE ISLEの高島氏の背中に刻まれる愛・平和・自由と言うキーワードをもとに強い絆を感じられた。
僅か一週間の出来事であったが、この思い出を文章にしてみた、拙い文章で何度読んでもあのスーパーヒーローであるクリスチャンフレッチャーの本当の姿を表現しきれない自分のスキルに落胆するが、そのうち風の噂の如く届くであろう「THE END OF THE RAINBOW」のインフォメーションを楽しみに待っていただき、真のリアルサーファーであるクリスチャンフレッチャーが運営するこのリゾートに遊びに行って、是非本人とセッションし彼の素晴らしい人柄を間近に感じてほしい。
改めて、ありがとうクリスチャン!
そしてHAPPY BIRTHDAY!
TEXT & PHOTO / 402
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